専攻医の一日 Schedule
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朝ごはん、昼食のお弁当作り、身支度などを急いで済ませて家を出ます。
まずは担当患者さんに会いに行きます。夜の間に変わったことはなかったか、今日の体調はどうか聞いて回ります。
朝、全員でミーティングがあります。昨晩の当直や、当日の手術・処置を共有します。
その後、分娩前の妊婦さんの状態把握やその日に行う処置を決めて、お産のサポートをします。その他、退院する妊婦さんの診察や、ベビーの診察も行います。
お昼ごはんは5分でも時間を見つけたら食べるようにしています。
午後も午前と同様に、お産の管理や、入院中の妊婦さんに変化があったら診察をします。
時折、外来患者さんの突然の入院や、他院からの搬送があります。上級医の先生含め皆で新規患者さんの診療に当たります。
忙しくなることもありますが、チーム医療を肌で感じられ、様々なことを学べるためとても充実しています。
カンファレンスがある日は全員で集まり、変化がありそうな患者さんを共有します。
カンファレンス後、残った事務仕事などをして業務終了です。
帰宅後は、夕飯を作りYouTubeを見ながら食べ、お風呂に入り、元気があったら少し勉強もします。
寝ることが大好きなので、いつも早寝して次の日に備えます。
2025年2月 寄稿
日勤帯から当直帯に切り替わる頃、ある患者さんが右下腹部痛で救急搬送されました。その患者さんは9cm大の右付属器嚢胞が指摘されている50代の方でした。卵巣嚢胞と下腹部痛で救急搬送といえば、産婦人科医はまず腫瘍茎捻転の可能性を考えます。精査の結果、やはり右付属器捻転を強く疑い、疼痛に対して鎮痛薬を十分に使用し、緊急手術を行うことを決めました。
手術の段取りをし、搬送から3時間で手術室入室、腹腔鏡手術を行いました。
腹腔鏡で右付属器を観察すると、720度捻転しており、右付属器切除を行いました。術後、患者さんの痛みはすっかり無くなったため、緊急で手術を行って良かったと心から思いました。
その後、夜ご飯を食べて休憩し、病棟に戻って入院中の患者の点滴の変更を行ったり、変化があった患者の診察をしたりして一度寝床につきました。当直室はビジネスホテル並みに綺麗なので落ち着いて休めます。

その1時間半後、当直PHSがけたたましく鳴り響きました。けたたましい設定にしているのは起きられなかったら嫌だと思っている自分なのですが、少し心臓に悪いなと思っています。
電話は、当院から近い分娩施設からで、分娩後出血がおさまらずSI(ショックインデックス)>1となったため母体搬送したいというものでした。このようなバイタルサインの崩れた患者さんは、救命センターで受け入れ、救急科の先生とともにに協力して診療に当たります。入電から約30分で病院に到着し、救急科の先生にバイタルサインの安定化を全てお任せし、産婦人科の私と上級医の先生とで原因検索を行いました。弛緩出血を第一に疑いましたが、子宮収縮薬や子宮内バルーンは奏功しませんでした。造影CTで子宮内腔への動脈性出血を認め、放射線科の先生にUAE(子宮動脈塞栓術)を行っていただき、ようやく止血することが出来ました。当院は24時間、UAEなど血管内治療ができることも強みです。

処置中、救急科の先生には輸血や採血フォローアップし続けていただき、患者さんはバイタル安定後に産婦人科病棟のMFICU(母体・胎児集中治療室)に入院することが出来ました。
これも診療科の垣根を越えた集学的治療がなし得たことだと思いますし、その一員として救命に参加出来たことは仕事のやりがいのひとつだなと強く感じました。MFICUに入院させる頃には日勤帯の先生方が出勤していらっしゃったので、引き継ぎをし、朝カンファレンスで夜勤であったことを話して自分の患者を回診後に業務は終了です。
当科は当直(夜勤)明けに皆さんが快く帰してくださるので、いつもお昼前には病院を出ます。家に帰ってまずすることは、お風呂に入ることです。眠いのでシャワーでサクッと済ませたい気持ちをグッとこらえ、湯船に浸かることにしています。リラックス効果がありますし、疲労もこの方がとれると思っています。その後、朝昼兼用のご飯を作って食べ、血糖値が上がって眠くなるのに身を任せて眠りにつきます。食べてすぐ寝るのは良くないと分かりつつ、明るい時間に睡眠欲求に従って寝るのはとても幸せに感じます。

この日は、夜から送別会があったので、夕方に目覚ましで起きました。
送別会は、4か月間と短い間でしたがとてもお世話になった1学年上の先輩2人が他病院に行ってしまうため開催されたものでした。2人に向けて用意していた色紙の最終仕上げをして、寂しい気持ちを抱えながら送別会に向かいました。
美味しいご飯と楽しいお話、そして先生方皆さんに協力頂いた色紙が、これから他病院で活躍される先輩方への良いはなむけになったのでは、と感じられました。そのおかげで、寂しい気持ちもありましたが、先輩方が居なくなっても大丈夫なように頑張ろうと前向きな気持ちになれた、そんな当直明けの1日でした。
2025年2月 寄稿
安心安全な医療を心掛けて(婦人科)
現在は卒後6年目の産婦人科医として、主に婦人科診療に携わっています。
主な1日の流れですが、朝8時からカルテ確認を行い、当直帯での状況把握・担当患者の確認を行います。8時30分に当直担当者および病棟スタッフとの申し送りを実施し、その後チームで病棟回診を行います。
週3回の手術日は良性腫瘍から悪性腫瘍、骨盤臓器脱などのQOLに関わるものまで様々な症例を担当させていただき、週1回の外来日は1日中外来患者を診療します。
空いた時間には術後患者の退院診察を行い、17時に産婦人科全体での申し送りを行います。その後病棟回診、翌日の勤務の準備を行い1日の業務を終了します。
週1回は大学の当直や外勤を行っています。当直は多忙な日もありますが当直明けは休みのため、休養や私用の時間にあててメリハリをつけて過ごしています。

安心安全な医療の提供をモットーとし、医師・看護師・患者とのコミュニケーションを特に重視しています。上級医や看護師との情報共有はコミュニケーションエラーの軽減や新たな気付きを得るきっかけとなり、また患者との対話は全身状態の把握や症状の早期発見につながると考えています。
大学病院ならではの魅力
私は現在、医師6年目として大学病院の婦人科で勤務しています。週1回の外来では約40~50名の患者を診察しており、週3回の手術日には主に良性疾患の執刀を担当しています。
複数の経験豊富な指導医からの指導を受けられる環境にあり、市中病院で培った経験に加えて、新たな知識や技術を学ぶ機会が豊富で、大学病院ならではの魅力を実感しています。
当直業務は月に3~5回あり、多忙なこともありますが、当直明けは休みであり休養がしっかり取れる体制が整っています。また、診断や治療の判断が難しい症例は、毎週の放射線科(画像診断)・放射線治療科・病理診断科との合同カンファレンスで協議しています。さらに、週2回は科内全体で申し送りを行い、病棟の入院症例を共有し、2週に1回の抄読会を通じて最新の知見を学ぶ取り組みを行っています。2024年4月には高度生殖医療センターが新設され、生殖医療分野の研修体制も強化されました。
大学病院は、産婦人科専門医取得後のサブスペシャリティ(周産期、婦人科腫瘍、生殖医療など)の研修・取得に最適な場であると考えています。また、大学病院の在籍中には国内外への留学や大学院に進学、研究を行うなど多様な進路を選択することができることも大学病院ならではの魅力です。
2025年2月 寄稿
連携施設(市中病院)スタートの研修
奈良医大産婦人科入局1年目で現在大阪はびきの医療センターで研修中の狩野と申します。 僕の学年の入局者 10人と例年に比べて非常に多く、大学病院スタート 6人、市中病院スタート 4人となっています。今回、市中病院での研修の一部をご紹介させていただきます。
当院は常勤医 8人(指導医 3人、専攻医 5人)+非常勤医 3人で診療を行っています。当院の最大の特徴の一つは分娩数および手術件数の多さで、令和5年度は分娩件数 957件(うち無痛分娩 272件)、手術件数 684件(うち帝王切開 172件、腹腔鏡下手術 202件)でした。
専攻医の間から多くの症例を経験でき、1年目の4月~12月までで経腟分娩 129件、帝王切開 56件(うち執刀 17件)を経験しました。単純子宮全摘術や腹腔鏡下手術での子宮付属器切除なども数例経験しています。日々、外来で胎児エコーを含めた妊婦健診、子宮がん検診などに携わっています。

研修開始から半年間は仕事に追われていましたが、部長はじめ上級医の先生方からの丁寧な指導だけでなく、キャパオーバーになっていないか細かく気にかけて頂き、精神的な負担はあまり感じませんでした。 また、オンオフがしっかりしており、1週間ほど夏期休暇をいただきました。家族で軽井沢旅行へ行ったり、奥さんと東京旅行へ行ったりと非常に充実した休暇を過ごす事が出来ました。
実際に産婦人科医として働き始めてみて、忙しさや仕事量に関しては予想以上でしたが、やりがいや充実感があり、産婦人科を選んで本当に良かったと思います。 産婦人科は大変な診療科ですが、新しい生命との出会いや女性のライフステージに応じた悩みにアプローチできること、終末期の緩和ケアなど他科では味わえない魅力が多く詰まった診療科と思います。
産婦人科へ少しでも興味のある学生さん、初期研修医の先生方は大学で医局説明会やハンズオンなどのイベントを定期的に開催しておりますので、是非ご参加ください。ご連絡お待ちしております!
2025年2月 寄稿
私の産婦人科研修、将来の夢
奈良県総合医療センターで産婦人科専攻医1年目として勤務しております、植田まさみと申します。私は元々周産期に興味があり、産婦人科を選択しました。
実際仕事をしてみて、やはり生まれる前からお母さんと一緒にみていくことのできる周産期は本当に素敵だと感じています。元々手術に少し苦手意識があり、帝王切開や婦人科手術ができるかどうか不安を感じていましたが、上級医の先生方が丁寧に教えてくださり、少しずつ手術も執刀させてもらっています。経腟エコーの手技もそうですが、手術も1つ1つできることが増えてくるので、日々楽しく手術をしています。また、産婦人科は不妊治療(生殖医療)や女性ヘルスケアの分野もあり、産婦人科でも幅広く色々なことができることは産婦人科の魅力の1つだと思っています。

重症例の対応を1つ紹介させていただきます。他院から産後出血で搬送された患者さんですが、前医で出血量が多く気管挿管されて搬送されました。救急の初療室で救急科のスタッフで全身管理をしていただきながら、産婦人科のスタッフで出血への対応を行っている現場に初めて立ち会い、チーム医療の大切さをしみじみと感じた1例でした。他にもバイタルが不安定な患者さんがいた場合は、当直帯だろうとも自分1人で対応しようとせず、他科のスタッフをしっかり頼ることが大事だと感じました。
私自身は国際医療にも興味があり、いつかは国際NGOなどで活動できたらと考えていますが、それまでにこれはできると自信をもって言えるものを身につけたいと思います。例えば産後出血の初期対応や帝王切開の基本術式を自信をもって自分でできるようになる、などです。今後も産婦人科医として日々精進していきたいと思います!
2025年2月 寄稿