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抄読会(SLEなどに対するヒドロキシクロロキンの有用性)

2026.9.10

2025年9月4日の夕方に医局で抄読会が行われました。

奈良医大産婦人科では毎週金曜日に抄読会等を行い、最新の知見について共有・議論しています。

 

 Saleh, Zeinab F et al. “Hydroxychloroquine in systemic lupus erythematosus, anti-SSA/SSB, and antiphospholipid antibody-positive pregnancies.” American journal of obstetrics and gynecology vol. 234,1 (2026): 7-20. doi:10.1016/j.ajog.2025.09.002

 

牧野先生が全身性エリテマトーデス(SLE)、抗SSA/SSB抗体陽性、抗リン脂質抗体(aPL)陽性妊娠におけるヒドロキシクロロキン(HCQ)の有用性についてまとめた最新の総説を取り上げました。

 

SLE合併妊娠では、HCQの使用により母体のSLEフレアが減少することは比較的一貫して示されており、早産を減少させる可能性も報告されています。一方で、妊娠高血圧腎症や胎児発育不全の予防効果については研究によって結果が異なり、現時点では明確な結論には至っていません。

抗SSA/SSB抗体陽性妊娠では、前児における先天性心ブロックの既往の有無を問わず、HCQによる先天性心ブロックの予防効果が期待されています。 特に前児に先天性心ブロックの既往がある妊婦に対する二次予防では良好な方向性が示されており、既往のない妊婦に対する一次予防についてもHCQを支持する報告がありますが、エビデンスはまだ限定的です。

抗リン脂質抗体陽性妊娠については、aPL陽性のみで血栓症や産科的APSの既往がない場合には、HCQをルーチンに使用する根拠は現時点では不十分です。一方、血栓性APSや産科的APS、特に標準治療でも妊娠転帰不良を繰り返す難治例では、HCQの追加が選択肢となる可能性があります。現在複数のRCTが進行中であり、今後の結果が期待されます。

自己免疫疾患を有する女性では、妊娠してから治療を考えるのではなく、妊娠前から疾患活動性を十分にコントロールし、妊娠中に継続する薬剤についてあらかじめ検討しておくことが重要です。

 

なお、当院ではプレコンセプションケア外来を開設しており、現在は主に慢性疾患を有する妊娠可能年齢の女性を対象に、原疾患の状態や治療内容を確認しながら、妊娠に向けた相談・支援を行っています。妊娠を希望される方が、より安全に妊娠・出産を迎えられるよう、妊娠前から適切な管理を行うことを大切にしています。