抄読会(妊娠期のニフェジピンと児の学業成績に着目した研究論文)
2025.12.16
2025年12月12日の夕方に医局で抄読会が行われました。
奈良医大産婦人科では毎週金曜日に抄読会などを行い、最新の知見について共有・議論しています。
今回は助教の常見先生が妊娠期のニフェジピンと児の学業成績について発表されました。
研究の目的は、妊娠期のニフェジピン維持療法が児の12歳時の学業成績にどのような影響を与えるか評価することです。
本研究は、オランダの切迫早産(妊娠26週0日〜32週2日)の妊婦を対象とした多施設RCT(APOSTEL 2試験)の長期追跡調査です。48時間(2日間)のshort tocolysis後に、①ニフェジピン維持療法群(最大12日間)、②プラセボ群の2群に割り付けられました。主要評価項目は、12歳時のhigh track recommendation for secondary schoolでした。オランダでは12歳時にその後一般教育を受けるのか、大学進学の予備教育を受けるかなど決まるそうです。
結果は、①ニフェジピン群は②プラセボ群の児と比較して、12歳時の学業成績が有意に低いことが示されました。この結果は、教師による評価のみ、学校成績テストの結果のみでも同様の結果でした。特に、①ニフェジピン使用期間が長い(9~14日間)児の転帰は、②プラセボ群の児と比較して、有意に低い結果でした。
ニフェジピンの維持療法の妊娠延長期間についてはこれまでも議論がありましたが、本研究では児の学業成績への悪影響が示唆されており、ニフェジピンの維持療法について慎重にならざるを得ないのかもしれません。なお、妊娠期のニフェジピンは胎盤を通過し、胎児の脳血流パターンに影響を与え、脳発達を阻害している可能性が示唆されています。